2026/05/22

【代表コラム】美味しく食べながら、体型を維持できる。会席料理が持つ、現代人への答え。

浅田屋伊兵衛商店 代表の浅田松太です。

実はダイエットを始めて2週間で、ウエストが5センチ縮まりました。しかも、しっかり食べながらです。

「そんなことが本当に?」と思われるかもしれません。私自身も、最初は半信半疑でした。毎日、会席料理をいただく機会の多い生活のなかで、体型をどう維持するか——。それは、実は長年の課題でもありました。

ある日、AIに食事の内容を相談しながら取り組み始めたところ、気づけば体に変化が現れていました。そして気づいたのです。「会席料理には、他の料理にはないアドバンテージがある」と。今回は、自身の実体験とともに、お話しします。

きっかけは、お客様の変化に気づいたことでした

コロナ禍を経て、お客様の食に対する意識が、確実に変わりました。以前は「たくさん食べて、たくさん飲む」という宴席の楽しみ方が主流でしたが、今はちがいます。

お料理をあまり召し上がらなくなった。お酒の量も控えめになった。その代わりに感じるのは、「自分のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を大切にしたい」という意識の高まりです。美味しいものは食べたい。しかし、体のことも気になる。その両立を、真剣に求めていらっしゃるお客様が増えています。

その変化を目の当たりにして、私自身も「では、料亭の料理でそれは叶えられるのだろうか」と考えるようになりました。

会席料理には「調整できる」という、唯一のアドバンテージがある

日本料理には、他の料理にはない大きな特徴があります。それは「調整ができる」ということです。

会席料理のコースは、素材一つひとつを丁寧に調理し、品数を重ねながら全体のバランスを整えていく構成です。良質なたんぱく質(魚、貝、豆腐)、季節の野菜、発酵食品(お味噌汁、漬物)がバランスよく揃っています。そして何より、炭水化物なしでも成立するのです。締めのご飯は、一口だけでも十分に満足感があります。

食べる量を極端に減らすのではなく、何を、どのように食べるかを整える。会席料理は、その思想と自然に合致しています。

フレンチ、イタリアン、お寿司が「難しい」理由

たとえばフランス料理やイタリアンは、バター、クリーム、チーズを豊富に使います。美味しいのですが、量の調整が難しく、食べた翌日に体が重く感じることがあります。

お寿司は、お魚そのものは理想的な食材です。ただ、シャリ(酢飯)を食べるとどうしても糖質が増えます。一貫一貫は少量でも、気づけばコースを通じてかなりのご飯量になっているのです。

天ぷらやうなぎも、素材は素晴らしい。ただ、油や甘いタレは調整しにくい面があります。

その点、会席料理は「引き算の美学」を持っています。余分なものを加えずに、素材そのものを活かす。それが、体への負担の少なさにつながっていると実感しています。

良質なたんぱく質、野菜、炭水化物を自在にコントロールできる構造

会席料理の構成をあらためて整理すると、栄養バランスの観点から非常に優れていることがわかります。

先付・向付では旬の野菜や魚介を少量ずつ。椀物では出汁を中心にしたたんぱく質と野菜。焼物・煮物では良質な魚や根菜をじっくり火入れしたもの。そして炭水化物(ご飯・麺)は、コースの終盤に少量だけ添えられます。

この流れのなかで、締めのご飯を一口にとどめるだけで、糖質を大幅に抑えることができます。それでいて、満足感はしっかりある。これは、品数を重ねながら丁寧に作られた会席料理だからこそ生まれる感覚です。

ユネスコ無形文化遺産に認定された和食には、「健康的な食生活を支える、新鮮で多様な食材の使用」という点が高く評価されています。その本質が、まさにここにあると思っています。

2週間で実感した、小さくない変化

実際に私が取り組んだのは、特別なことではありません。毎日の食事のなかで「何を多く食べるか、何を控えるか」を意識しながら、会席料理の構成を活かした食べ方を続けただけです。

締めのご飯は一口にとどめる。お酒はいただくが、締めの炭水化物はできるだけ少なくする。品数が多いので、それだけで十分に満足できます。

すると2週間で、ウエストが5センチ変わっていました。食事を楽しみながら、です。

このまま続けていけば、今後はフランス料理やイタリアンをほとんど食べなくなるかもしれません。それほど、会席料理の食べ方に体がフィットしていると感じています。

料亭は、QOLを高める場所になれる

40代、50代、60代のお客様にとって、「美味しく食べながら、健康でいたい」という願いは、今や特別なものではなくなっています。むしろ、その世代の方々が最も切実に求めていることかもしれません。

料亭は長らく、「接待の場」「特別な記念日の場」として捉えられてきました。しかしこれからは、「美味しく食べながら、自分の体をいたわれる場所」としての価値が、もっと広く伝わってほしいと思っています。

浅田の会席料理は、加賀の食文化を受け継ぎながら、季節ごとに丁寧に作り上げたものです。食材の良さを引き出し、余分なものを加えない。その積み重ねが、体にも心にも穏やかに作用すると、私自身の経験から確信しています。

「食べることが、生きることを豊かにする」——その場所を、これからも作り続けていきたいと思っています。

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